いま世間には、非常にたくさんの資格があふれています。
なかでも幅広い世代に人気の資格が「医療」に関わる資格です。
特にライフステージに変化の多い女性を中心に支持を集めています。
今回は現代の医療の実際をたどりながら、その現場で活きる資格について考えてみたいと思います。
目次
医療に関する資格はたくさんありますが、資格は現場で生かしてこそ意味のあるものです。
ここではまず医療の現場の実際をみてみましょう。
「医療」とは医術や医薬で病気やケガを治すことを指していますので、そうした行為・サービスを受けられる場のことを「医療の現場」と呼べると思います。
そしてそうした場は「医療機関」や「医療施設」(以下、医療機関)と言い換えることができます。
では、医療機関にはどういった種類があるのでしょうか。
医療機関は、「病院」と「診療所」の2つに大別ですることができます。
その違いは入院施設として有する病床数(ベッド数)によるものです。
病院には20床以上、診療所には19床以下のベッドがあることと、法律上で決められています。
さらに診療所には入院施設を持つ「有床診療所」と入院施設をもたない「無床診療所」があります。
診療所では施設に1人の医師で運営されていることもあり規定はありませんが、病院では人員配置にも決まりがあり、施設に最低3名以上の医師がいることや、外来患者や入院患者の人数に対しての配置割合についても制限があります。
なお法制上は「クリニック」という表現はありませんが、一般に、診療所に含まれる医療機関のひとつです。
わが国では、医療の場である医療機関の数は年々増え続けていますが、増えているのは無床診療所だけであり、有床診療所は減少、病院は横ばいの状況となっています。
わが国ではあらゆる業界で急速にIT化が進められていますが、これは医療の現場でも同じことが言えます。
医療の現場でのわかりやすい例としては、受付時や会計時の専用機器の導入や、診察予約のシステムなどがその一例です。
医療機関では元来、診察時間に対して待ち時間の長さに不満の声が多上がっていましたが、こうしたIT化によって待ち時間の短縮や問題の解消を図りたという狙いがあるようです。
また、従来の紙ベースのカルテの記録や種々の指示書(処方箋なども含まれます)をデジタルデータに置き換える動きも、他の業界よりもゆっくりではありますが、少しずつ進んでいます。
従来はフィルムに現像されていた検査画像のデジタルデータ化、検査結果や画像診断結果などもデジタル化され、これらのデータを集約して利用できる「電子カルテ」や「診療情報システム」が導入されています。
中でもレセプト業務と呼ばれる診療報酬明細書に関する業務では、カルテの電子よりも先に進められてきました。
多くの医療情報の管理にも、IT化が大きく貢献していることになります。
IT技術は、医療の現場で大きく貢献しています。
効率的に業務を進めたり、一つのデータを複数の部署や業務で同時に共有することも可能にしています。
さらに言えば、当該の医療機関の枠を出て、他の医療機関やその他機関の間であっても、同じようにデータを共有することすら、可能になってきています。
レセプトの提出もオンラインでできるようになり、レセプト用紙をルールどおりに束ねて提出する必要もなくなりました。
すべてを紙ベースで処理していた時代に比べれば夢のようなことのようにも思えます。
また、医療機関にはさまざまな記録について、保存の義務がありその期間も法律で定められています。
たとえば、診療録(カルテ)なら5年、放射線写真や検査所見などのカルテ以外の診療記録なら2年、調剤済の処方箋なら3年などです。
どういう医療機関で、どのようなことが記録された、どのような作成書類が細かく決められています。
これはそのごく一部ですから、義務付けられているすべての書類を決められた期間保存しておくのは大変な負担になります。
こうした記録のすべてがデータ化されることによって、保管場所に困ることもなくなりました。
しかし、医療機関が扱う記録や情報は個人の大変デリケートな部分が記録されたものであり、それが紙であれデータであれ、安全に取り扱うということが大前提です。
特に、IT化によってどこからでもアクセスできるということは、便利で効率的であると同時に、大変危険なことでもあると言えます。
つまりそれは確実なセキュリティが担保されていて初めて多くの利点を享受できるということだと思うのです。
またシステムが安定的に運用され続けるように保守・管理していくことも大切です。
では医療の現場にはどういった仕事があるのでしょうか。
医療機関にも種類があることは先にお伝えしたとおりです。
規模が大きく診療科や部門などが多い医療機関ではその職種の幅も広くなります。
ここでは、病院をイメージして職務内容で分類した職種のひとつの例をみていきましょう。
(准看護師は看護師の補助をおこなう)
このうち、「健康を栄養で支える職種」である栄養士や管理栄養士までは、国家資格が必要な職種です。
また、一般的には「医療機器の操作をする職種」である、臨床検査技師までが、いわゆる「医療職」と呼ばれる人たちです。
医師や看護師に代表される医療職、彼らを補佐する役割をもつ職種、機器の操作やメンテナスの面から医療を支える職種など、多くの専門職(医療職)によって病院は運営されており、それぞれが専門的な知識や経験を活かして日々の業務に携わっています。
しかし、急速に進む超高齢化社会や医学の進歩に対処しながらも、患者さんの目線に立った医療を提供することがますます求められ、それに応えるためのひとつの方策として、「チーム医療」という考え方が推進されています。
チーム医療とは各職種の専門性をチームという形の中で、連携・協働することです。
専門的なスキルを発揮して、患者さんのQOL(生活の質、人生の質)の維持・向上、人生観を尊重した療養をおこなっていくことです。
疾患や病態やプロジェクトなどでチームを組み、チームごとに構成する専門職が違い、各職種の専門性が活きるメンバーになっています。
一例として次のようなチーム医療がおこなわれています。
いくつかの例を挙げてみましょう。
病院によってはこの他にも、「感染症対策チーム(ICT)」や、リハビリテーションをより効果的に進めるためのチームが存在していることがあります。
いろいろな場所・部門でたくさんの職種が関わりながら仕事を進めていく医療の現場ですが、ここまで紹介してきた職種は、専門性が非常に高く、国からの許可(国家資格)が必要な職種です。
特に医師や看護師など、人の健康や命に大きく関わる仕事である以上、当然のことですよね。
だからこそ「プロフェッショナル」と呼ばれるのだと思います。
しかし、そうした直接医療に関わるプロフェッショナルである人たちは、医師であれば診療、看護師であれば看護や医師の補佐といった本来の職務だけではない、それに付随するさまざまな業務が存在しています。
そうした業務が本来の職務にあたる時間を圧迫して十分な時間が取れなかったり、全体としての就業時間を延ばしてしまったりしています。
さらに、そうした実態を嫌って、勤務医や看護師が離職し、人材不足につながっているとも言われています
こうした現状の中、先の職務内容で分類した職種の項目で紹介した「事務・サポート職」にある職種の多くが、そうした部分をサポートすることが期待されている仕事です。
直接的にサポートする仕事もあれば、間接的にサポートする仕事もありますし、医療職や他職種のスタッフに繋ぐ仕事、裏方としてプロフェッショナル集団である医療の現場全体を下支えする仕事もあります。
こうした仕事は、医療の現場に深く関わり、そこで仕事をするプロフェッショナルをサポートするという重要な役割を担うことができます。
また、医療の現場を支えるということだけでなく、患者さんや利用者さん、さらにはそのご家族など、誰かの役に立っているという実感を得られる仕事だということも、医療現場で仕事する上で大きな糧となるのではないでしょうか。
では、医療の現場での資格をどう考えればよいのでしょうか?
直接医療に関わる仕事ではない “支える仕事” の多くには、特別な資格がないと仕事ができないということはありません。
医療職は国家資格がなければ仕事ができないことを思うと、この差には驚いてしまいます。
しかし、必須の資格があるということは、その仕事に就こうとする人には一定の基準を上回る、その職に必要な知識や技能が備わっていることを証明することになります。
一斉に同じ試験をおこなうことで、全体の中でのレベルのどのあたりにいるのかも一目瞭然です。
こうした試験の合格者であれば、就業後には一定のレベル以上のことからスタートできるわけですから、医療機関側としても即戦力として安心して仕事を任せることができるでしょう。
では、その逆ではどうでしょうか。いくら勉強してきたと主張されても、それを裏付けるものが何もないようでは、何を拠りどころにしていいのか分かりません。
またその仕事に就こうとしている側からしても、“わたしはこれだけの知識や技能を身につけている”と自信を持って挑戦できるものでしょうか。
そして、ただ資格取得を目指すことを目的にするのではなく、その資格があなたの何を証明してくれるのか、その資格によってどう仕事に取り組むことができるのか、そんな風にシミュレーションできる「活きる資格」として捉えられると良いのではないでしょうか。
必須の資格がない事務職やサポート職ですが、資格がないイコール勉強しなくてもいいということではありません。
先にお伝えしたように、資格はあなた自身を証明し、あなたが仕事をする上で強みとなるものを身につけさせてくれるという利点があります。
それは日々の学習の到達目標として、とても意味のあるものでもあります。
毎日たくさんのことを勉強し続けるということは決して簡単なことではありません。
年単位でそれを続けるのはとても大変なことです。
しかしその先に、医療の現場で、プロフェッショナルをプロとして支えるあなた自身の姿を想像してみてください。
きっといくつかの資格がその姿を支えていることと思います。
そしてわたしたち京都栄養医療専門学校は、資格取得やあなたが将来プロとして活躍できるように、日々の学習を支えていきたいと思っています。
もう少し詳しく知りたい方はぜひこちらもご覧ください
>>医療事務・医療秘書科について
参考サイト
医療関連の資格
https://www.ajha.or.jp/guide/13.html
厚生労働省 用語解説
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/iryosd/08/dl/02.pdf
チーム医療推進のための基本的な考え方と実践的事例集
https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000001ehf7-att/2r9852000001ehgo.pdf
チーム医療推進協議会 チーム医療を詳しく知る
https://www.team-med.jp/specialists
一般社団法人 日本作業療法士協会
http://www.jaot.or.jp/
中通総合病院 視能訓練士
http://www.meiwakai.or.jp/nakadori/pages/nakadori-field-orthoptist
シカクトシゴト 医療系の仕事
http://www.55shingaku.jp/kininaru/kininarusigoto/314/
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