将来どんな仕事に就いてみたいかを思いうかべるとき、「誰かの役に立つ仕事がしたい」と考える人は少なくないと思います。
今回はそんな「誰かの役に立つ仕事」のひとつとしてイメージする人も多いであろう福祉の仕事について考えてみましょう。
まず「福祉」とはよく聞く言葉ですが、何を指しているのか、どんなことを福祉と呼ぶのか、ご存知でしょうか。お仕事のことを考える前に、「福祉」とはいったい何のことなのかを考えてみます。
「福祉」という言葉を辞書で引くと、「幸福」と解説されています。
また、「福」「祉」のどちらの字自体も「幸福」という意味を持つ漢字ですから、「福祉」とは「しあわせ」を指しているということなのでしょう。
「福祉=幸福」。
もちろん間違ってはいないのですが、なんとなくしっくりこない気がしませんか?
わたしたちが福祉ということばに触れるとき、それは「公共の福祉」とか「社会福祉」とか、そんな風に使われることが多いものです。
このような使われ方をするときの「福祉」とは、「公的な配慮やサービスなどによって、社会の構成員に等しくもたらされる充足や安心」という、辞書では2つ目に解説されていることにあたる「福祉」の意味です。
この解説での「充足や安心」ということがいわば広い意味で「幸福」に含まれているというイメージなのではなでしょうか。
また、ある地方自治体では、「福祉」のそれぞれの文字を使って 「ふだんのくらしをしあわせにするために取り組む活動や仕組みのこと」 と説明しています。
とてもわかりやすいですよね。
こうした取り組む活動や仕組みを社会的におこなうのが「社会福祉」ということになります。
では、実際にわたしたちの生活の中ではどのような福祉があるのでしょう。
まずは、福祉の対象となるのが誰なのかを考えてみると、どのような福祉があるのかが見えてきます。
広い意味での社会福祉とは、特定の誰かではなく全国民を対象としています。
先ほどの言葉の解説にも「社会の構成員」とありました。
この「国の構成員」がすなわち「全国民」ということになります。
次に、狭い意味での社会福祉では、その対象は基本的人権の保障の観点から「社会生活をする上で弱い立場にある人」となります。
日本では、憲法25条(生存権)において、慈善や相互扶助だけではなく、国の責任において社会福祉を向上・増進させるべきだと規定されています。
これを具体化するために、社会福祉事業法や社会福祉六法と総称される6つの法律やそれに関連した法律によって、分野ごとの政策が決まっていきます。
社会福祉六法とは、生活保護法、児童福祉法、母子及び寡婦福祉法、老人福祉法、身体障害者福祉法、知的障害者福祉法のことをさしています。
それぞれの法律の名前になっているのが、その援助の対象となる「社会生活をする上で弱い立場にある人」になると考えると、分かりやすいでしょうか。
福祉六法で言えば生活保護受給者、児童、母子・寡婦、高齢者、障害を持つ人たちが、普段の暮らしを幸せに過ごすことができるように、国や行政の規定の中で、事業やサービス、ボランティアなどを通じて、その目的を達せられるようにすることが、わたしたちの周りにある福祉といえるでしょう。
では次に、福祉の仕事について考えていきましょう。 福祉の仕事を仕事の内容別にいくつかに分け、それぞれの分野にどのような仕事があるのかをみていきます。
心身の障害などによって、日常生活に支障を来している人たちに対する相談に応じる仕事、いろいろな制度や施設の利用の仕方などをアドバイスし、問題解決をはかる仕事。
援助や保護を必要とする人のアドバイザー的役割をもっていて、利用者とその家族に最も適切な援助を、さまざまな福祉サービスの中から選び出す。福祉施設や児童相談所に勤める。
福祉施設利用者が快適な生活を送れるように支援する仕事。
入退手続きや生活プログラムの設計などをおこなう。
老人福祉施設や身体障害者施設に勤める。
児童発達支援事業に配置を義務付けられている仕事。
児童発達支援センターや放課後等デイサービス、重症心身障害を持った児童への療育をおこなう。
また、何らかの事情で保護者からの療育を受けることが困難な子どもたちを保護・療育する。
高齢者の介護サービス計画を作成し、円滑に介護サービスの提供がおこなわれるようマネジメントする仕事。
計画作成前の段階として、介護保険サービスの申請を受け、申請者を訪問し身体状況の調査をおこなう。
地域の福祉事務所や居宅介護支援事業所などに所属していることが多い。
介護が必要な障害者や高齢者に対しての、生活のサポートをする。
サポート内容は、衣類の着脱や食事、入浴、排せつ、散歩、買い物の援助など、生活のすべてを支えることとなる。
利用者が入所している施設に勤めることもあれば、自宅でのサービス利用、あるいは介護サービス事業者に就職する形となる。
介護が必要な高齢者や心身に障害を持つ人の家庭などに派遣され、家事(食事、調理、洗濯など)を代行する仕事。家事だけでなく、日常生活(入浴や排せつ、福祉施設へのつきそい)の手助けなどの介護もおこなうこともある。
家事の代行や介護を行うための訪問ではあるが、その中での会話やちょっとした相談などで、身体だけでなく精神的な負担を軽減するという役割も担っている。社会福祉協議会や訪問介護事業所に所属している場合が多い。
医師がおこなう診察などの医療行為の補助、患者さんの日常生活の援助や健康・衛生管理や医療的なケアをおこなう。
仕事の次の4つの職種の総称。
地域に生活する人たちの健康増進・健康保持のためのサポートする仕事。
企業や学校などでの健康管理もおこなう仕事もある
妊娠から出産までをサポートする仕事。
分娩の介助や新生児のケアをおこなう。
妊産婦や新生児、経産婦だけが援助の対象ではなく、思春期や更年期の女性の健康全般を支えるという大切な仕事もある。
医師の指示の下、治療を受けながら生活をする患者さんをサポートする仕事。
専門的な知識と技術に基づいたケアや診療を補助する仕事。患者さんの心身ともにサポートする。
医師または看護師の指示の下、看護師同様、患者さんのケアや医師の診療を介助する仕事。
医師や看護師などとともに組むチーム医療にて、リハビリテーション療法を専門的におこなう職種の総称。
近年、介護保険対象者については、医療保険でのリハビリテーションから介護保険でのリハビリテーションに移行しており、病院や医院だけでなく各種介護施設に就職する形も多い。
人間の基本的な運動機能(起きる、立つ、歩くなど)の回復や維持、悪化の予防のための治療や支援をおこなう仕事。
日常生活の具体的な動作(食べる、着替えるなど)を獲得するために、運動機能や環境の調整をおこなう仕事。
コミュニケーション(話す、聞く、読む、書く)に関わる障害に対して、会話などをとおして訓練、指導、援助を進める仕事。
福祉の仕事と聞いていちばんにイメージしやすい相談員や介護職、看護職の仕事以外にも、たくさんの職種がありましたね。
もちろんこれがすべての職種ではなく、代表的な職種にすぎません。
他にもたくさんの仕事がありますから、それぞれの分野でもっと詳しく調べてみるもの良いかもしれません。
ところで、先に紹介した多くが福祉の制度や施設を利用する人と直接関わる職種だったことに、気付きましたでしょうか。
そして国家資格やそれに近い資格を要する、専門的な職種が多かったですよね。
特別な勉強や長い道のりが必要とされる仕事もありました。しかし、どんな世界で働くにしても、表に立って専門的に仕事をする人を、陰で支えるたくさんの裏方さんがいるものです。
もちろん福祉に関わる仕事にも同じように、決して目立つことはないけれど、専門職の仕事を支える仕事があるのです。
たとえば各種介護施設や児童福祉施設などほとんどの福祉施設では、食事の提供をおこなっています。
利用する人の、食事を摂る際に必要とされる咀嚼能力(噛み砕く機能・力)や嚥下能力(飲み下す機能・力)、食器や端やカトラリー類を持つ力はその人によって違います。
そもそも健康状態も個人によってさまざまですから、食べてはいけない物、積極的に摂るべき栄養素や食べ物の形状・形態など配慮すべきことはたくさんあります。
こうした人たちを栄養面や食事で支えるのが、管理栄養士や栄養士の仕事です。
管理栄養士や栄養士は、食事指導や献立作成などによる食事管理を通して、栄養状態の管理をおこない、健康と食と栄養について専門的にサポートする仕事です。
いずれも国家資格ですが、厚生労働大臣からの免許を受けた「管理栄養士」と、都道府県知事の免許をうけた「栄養士」の2つがあります。
管理栄養士は、健康な人、疾病を持っている人や高齢で食事をうまく摂れなくなっている人などに、高度な専門知識による栄養管理、栄養指導や給食指導をおこないます。
栄養士は、主に健康な人を対象にした栄養指導や給食指導や管理を通して、健康保持増進、疾病予防をおこないます。
管理栄養士や栄養士は、乳幼児期から高齢気までの人の一生のどの段階でもサポートすることができるので、地域や医療機関、各種介護関連施設、児童福祉施設、学校など、福祉の現場支える大切な職種なのです。
では、どうしたら栄養面で福祉を支える、管理栄養士や栄養士になることができるのでしょう。
管理栄養士と栄養士では、その資格取得までのルートが少し違います。
栄養士の場合、栄養士養成施設で所定の専門課程を習得し卒業することが必要です。
栄養士はこの時点で都道府県の免許を受けて「栄養士」となります。
管理栄養士の場合は、管理栄養士養成施設で所定の専門課程を習得し、国家試験に合格し厚生労働大臣の免許を受けることが必要です。
もしくは、「栄養士」となって実務経験を積んで、管理栄養士国家試験に挑戦することもできます。
いずれにしても養成施設での勉強が必須となります。
>>栄養士・管理栄養士についてもっと知る
次の裏方さんの多くは、本当に裏で働く人たちです。
それは事務部門という選択肢です。 先の例でもお話しした福祉施設を思い浮かべてみましょう。
そこには施設を利用する人と、それを直接的に支援・援助する人がいます。
しかし、施設である以上、そこを運営する側の人がいます。
また、「福祉が何か」といういちばん最初の話も思い出してください。
根底には「公的なサービスや配慮」があります。
公的な何らかの制度を利用したうえで、その施設やサービスを利用しているのですから、利用した制度について事務処理をする人が絶対に必要になります。
この人たちも福祉の現場で仕事をする人たちなのです。
つまり、介護職や医療職といった専門職として福祉の仕事をおこなっている人を支える仕事、これもまた福祉の仕事といえます。
たとえば、介護保険制度を利用した福祉サービスを提供している事業所・施設での事務といえば、介護事務がそれにあたります。
また医療機関での福祉サービスを健康保険制度で利用しているのであれば、医療事務になります。
児童福祉施設や障害者施設であっても同様に、事務部門の担当者がサービスの提供についての給付や、請求の事務処理をおこなっているのです。
実際の医療事務や介護事務といってもその仕事の範囲はかなり広く、一般事務に近い業務から、医療や介護の仕組や制度、関連法規についての知識が無いと難しい業務まであります。
また職場によっては、専門知識を含めた事務処理のスキルだけでなく、受付や案内といった業務を担うこともあります。
必須の資格こそありませんが、範囲の広い仕事を適切におこなっていくためには、それ相応の勉強をしてから実務に就くのが理想的な仕事の始め方ではないでしょうか。
京都栄養医療専門学校は、管理栄養士あるいは栄養士になるための、養成施設に指定されています。
栄養士科、管理栄養士科では基礎から専門知識までしっかり学び、福祉の仕事の場でも活躍できる栄養のエキスパートを目指しています。
また、事務部門での活躍を目指す医療事務科・医療秘書科もあります。
同じ目標を持つ仲間たちとともに本気で学び、成長し、福祉の仕事をしたいという夢を実現させましょう!
夢を夢で終わらせない、それがわたしたち京都栄養医療専門学校での「学び」です。
参考サイト
日本栄養士会 管理栄養士・栄養士を目指す方へ
https://www.dietitian.or.jp/students/dietitian/
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【学校法人大和学園 京都栄養医療専門学校】
以下の学科をもつ、京都・嵐山にある専門学校。
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●栄養士科[2年制]
●管理栄養士科3年次編入学
●医療事務・医療秘書科[2年制]
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