みなさんこんにちは。京都栄養医療専門学校です。
入院中に提供される病院食は、患者さんの状態や食事に関する機能に合わせて、その人にとって適切なものが用意されています。
中でもここ数年、病院食にとって注目されているのが「展開食」という考え方のようです。
今回は、病院食の献立作成手法である「展開食」をテーマに調べてみました。
入院患者さんの食事は、医師の指示によって献立が作られ、提供されます。
これは治療食として提供されるもので、一般治療食(一般食)と特別治療食(特別食)に分けられます。
一般食には「常食」と呼ばれる、健康な人が普段の生活で食べているような食事も含まれています。
「常食」の主食は基本的にはごはんで、主菜や副菜なども含め食材や調理の方法に制限はありません。 根菜類など硬めの野菜や繊維質の食材や香辛料の使用も可能ですし、うどんやパンを主食にすることもあります。
食べること、飲み込むこと、消化吸収が正常の人を対象としているため、自由な献立作成ができます。
「常食」をベースに、患者さんの状態や機能に合わせ変化させた食事を、総じて「展開食」と呼んでいます。
患者さんごとに一から献立を考えるのは、調理作業や食材調達が大変ですので、同じ調理法で食材を変更する、または、同じ食材で調理法を変更する、というように献立作成を進めていくのが、「展開食」の考え方です。
展開する献立にはたくさんの方向性があります。
ひとつは、主食を全粥やそれに準じた内容とし、副菜も主食に合わせて軟らかくする食事で、「軟食」といいます。
軟食には、全粥食、七分粥食、五分粥食、三分粥食が含まれていて、消化器系などに刺激が少なく、消化しやすい献立になっています。
調理法としては、歯ごたえがあるようなものや、揚げる、非加熱などではなく、焼く、蒸す、茹でる、煮るなどの油の使用料の少ない方法を選択します。 また、この軟食は、高齢者の方や、疾患や病状などによって、噛む力やのみ込む力が弱い患者さんにも選択されることが多くなっています。
もうひとつは、先の区分でいう「治療食」にあたる、疾患治療のために栄養素の増減、食材・食形態の工夫が必要な食事です。
対象となる疾患としては、糖尿病、胃疾患、肝臓疾患、腎臓疾患、脂質異常症、心疾患、閉塞性肺疾患などがあります。
栄養成分の調整が必要な食事として、エネルギーコントロール食、塩分コントロール食など、食材・食形態の工夫が必要な食事として、潰瘍食、胃術後食などがあります。
疾患別の献立を考えていく場合、いくつかのポイントを押さえ、常食から展開していくことになります。
たとえば、糖尿病患者さんのための献立は、適正なエネルギーと栄養バランスのよい食事が基本となります。
糖尿病のようにエネルギーに制限がある食事では、肉や魚の大きさや種類、ご飯の量での調整や、副菜で使用しする食材で制限をすることになります。
また塩分のコントロールとしては、下味に使う塩をなくしたり、調味料を減塩タイプのものに変更したり、汁物も常食の半分の量にしたりして、患者さんに合った献立に仕上げていきます。
他の疾患別の献立作成でも、エネルギーや栄養素の増減にポイントを踏まえた展開を考えていきます。
病院での食事は空腹を満たすためのものではなく、治療の一部であることがお分かり頂けましたでしょうか。 しかし治療のためであっても、食事の味や見た目によって満たされる、ということは変わりないと思うのです。
展開食でも、常食とは見た目が大きく変わらないように盛り付けすることや、美味しさ求めた病院食作りに取り組んでいる施設もあると聞きます。 そうした取り組みは食事が持つ栄養面以外の力を発揮させて、患者さんのサポートをしたいということなのではないでしょうか。
今回のテーマを通じて、患者さんの入院生活を支える管理栄養士の仕事を、わたしはもっとよく知りたいと感じました。
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