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京都栄養医療専門学校の栄養士科は、2年制です。1年次は基礎を高める時期、2年次は専門性を深める時期です。2年次からは自分が「なりたい栄養士像」に合わせ、4つの専門コースから専攻するコースを選択することができます。いずれのコースでも、卒業と同時に栄養士の資格を取得することができます。
まず1つ目に、病院・福祉栄養コースをご紹介します。
このコースは主に「病院や福祉施設で活躍する栄養士になりたい」人が選択しています。
このコースを専攻し、栄養士の資格を取得すると、
などを目指すことになります。
病院の栄養士は、患者さんの給食の献立を考えたり、実際の調理や盛り付けなども行います。
病院には同様に『管理栄養士』が在籍していることもありますが、業務内容としては、主に管理栄養士が栄養管理や栄養指導を、栄養士がフードサービス(給食業務)を担当することが多いようです。
社会福祉施設の栄養士とは、分かりやすくいえば高齢者施設や障がい者施設などでの栄養管理、栄養指導、献立作成、調理やフードサービスを担当しています。
公務員の栄養士はイメージしにくいかもしれませんが、これは「行政栄養士」とも呼ばれるお仕事です。行政の施設としては、保健センターや保健所などがあり、主に一般住民に向けた栄養指導や食育活動などを行っています。
2つ目に、保育園栄養士コースをご紹介します。
このコースは主に「保育園の栄養士になりたい」人が選択しています。
このコースを専攻し、栄養士の資格を取得すると、
などを目指すことになります。
保育園の栄養士の主な仕事は、保育園に通う子どもの栄養管理と食育です。
保育園とは、基本的に両親ともに働いている家庭の子どもに対し、日中の養育と教育を行うところです(養育と教育を合わせて「保育」と呼びます)。そのため、子どもたちの昼食には給食を提供します。
保育園によって在籍する子どもたちの年齢は違いますので、給食の内容もすべて同じではありません。学年によって、「おやつ」があるかどうかが違うことがありますし、離乳食やきざみ食が必要な子どもたちもいます。また、アレルギーへの対応や、子どもたちへの「食育」という大事な役目もあります。
児童福祉施設とは、児童福祉法という法律で定められた施設が複数ありますが、実は保育園も、児童福祉施設の一つです。他には、児童養護施設や障がい児入所施設など、さまざまな施設があります。いずれの場所でも、給食を必要とするところは、栄養としての役割があります。献立の作成、調理や配膳などのフードサービス、子どもたちの栄養管理、そして食育です。子どもたちだけではなく、場合によってはその保護者に対しても、栄養指導を行うことがあります。
3つ目には、スポーツ栄養コースをご紹介します。
このコースは主に「スポーツの分野で働く栄養士になりたい」人が選択しています。
このコースを専攻し、栄養士の資格を取得すると、
などを目指すことになります。
スポーツ分野の栄養士は、みなさん、イメージできるでしょうか。
例えば、プロスポーツチームに所属し、チームの選手への栄養管理などを行う、という働き方があります。オンシーズンとオフシーズンでの献立の違いをアドバイスしたり、試合前と試合後での食事内容を指導することもあります。
また、スポーツクラブに所属する栄養士もいます。ここでは、スポーツクラブの会員に対し、目指す姿に近づけるための栄養指導を行います。例えば、健康的にダイエットをしたい方へのメニューをアドバイスしたり、個別プログラムを組むような方には、1週間の献立を考え、実際の食事内容との違いからさらにダイエットに向けたアドバイスをすることもあります。
4つ目は、フード・食品開発コースをご紹介します。
このコースは主に「食品開発や給食に携わりたい栄養士になりたい」人が選択しています。
このコースを専攻し、栄養士の資格を取得すると
などを目指すことになります。
これは、前述の3つのコースとは、少し違う点があります。それは、特定の誰かに栄養指導を行うのではなく、広く一般の人に向けて食を提供するという点です。このコースでは、より専門性を高めるプログラムとして、食文化に関する知識を学ぶ講義や、フードマネジメント(食材の調達から調理、提供まで、食に関するビジネスや経営について学ぶ)に関するプログラムがあります。
これらのスキルを身に付ると、例えば給食会社や外食産業において新しいメニューを考案したり、食品メーカーにおいて新商品の開発などで活躍できる能力を身につけることができます。
栄養士は、特定の誰かだけではなく、広く一般の人にも、栄養を考慮したメニューや食品を提供していくお仕事です。
「栄養」は目に見えないものですが、私たちのからだを作り、動かし、健康を維持していくために重要なものです。
目に見えないものだからこそ、理論やエビデンスに基づいた、正しい知識と技能で、管理していくことが必要です。
もっとも重要なのは「栄養」に関する知識です。
実際にからだの中に取りこんだ栄養が、私たちのからだにどのような影響をもたらすのか、そのメカニズムも知っておく必要があります。
栄養士科では次のようなカリキュラムが組まれています。
【1年次】
これはほんの一例ですが、他にも食品学実験や健康運動演習などがあります。
【2年次】
この他、専門コースごとに、メディカル栄養実践演習、保育実践演習、健康トレーニング学、食品開発演習などがあり、校外実習として病院や高齢者福祉施設などでの業務を体験するというカリキュラムもあります。
「栄養」は、私たちが生きるために、もっとも重要なものです。
小さな子どもが健康に成長できるように、今元気な人はさらに元気に長生きできるように、病気のからだを少しでも健康な体に近づけるように、日々の生活の中で常に気を配っていくものといえます。また、栄養の取り方を少し変えると、今よりもっと健康な姿に近づいたり、より強靭なからだを作っていくこともできます。
前述のように、どの専門コースを専攻するかで、将来進む道は少しずつ違います。もちろん、基本的な知識や技能は習得していますので、病院・福祉栄養コースを選択しても、いずれ保育園やスポーツ関係の施設などのお仕事に従事する人もいるでしょう。それだけ、「栄養」の知識は、さまざまな分野で必要とされているのです。
栄養士科のカリキュラムの中には、「栄養管理とは関係ないのでは……」と思われるものもあります。
例えば、「ホスピタリティマインド」や、「公衆衛生学」などです。
「ホスピタリティマインド」とは、レストランなどの外食産業や、ホテルなどの観光業界などで使われることが多言葉です。お客様に対して食品などを提供する「サービス」に対して、それらの質をより高めることができるような考え方をさします。ホスピスとは、「歓待」「親切で丁寧なもてなし」「思いやり」などと同じような使われ方をします。マインドは「心」です。つまり分かりやすい言葉でいえば「おもてなしの心」でしょうか。
例えば、少し高級な飲食店で「おしぼり」が出てくるのはサービスですが、さらに「お疲れさまです」と声をかけることは「おもてなし」とされます。この様に、相手の状況を見ながら相手を気遣い、ほっと安心できるような振る舞いが、ホルピタリティマインドと考えると良いでしょう。
一方の「公衆衛生学」は、健康について社会的な水準で考える学問です。例えば、栄養との関連性が深いところでは、生活習慣病を予防するためにはどうすれば良いか、感染症にかからない食生活や栄養とは何なのかなど、栄養の取り方とからだの健康に関することを学びます。実際のカリキュラムの中では、公害や疫病、自然などの環境問題について、地球レベルで現状を理解し、さらに労働衛生についても学びます。
栄養士は、専門学校を卒業すると同時に、栄養士の資格を取得することができます。都道府県知事への申請が必要ですが、国家資格を取得することができるのです。栄養士の資格は、一度取得すれば更新制度などはなく、栄養士としてずっと働くことができます。
栄養士の働き方は、実にさまざまです。人が集まるところ、人が食事をとるところには、必ず「栄養」という知識が役立ちますし、その専門スキルを持たない人からみれば、栄養士のスキルとは自分たちの健康に関わる、重要なスキルです。例えば、次のような働き方があります。
栄養士が活躍できるフィールドは、とてもたくさんあります。その一例をあげてみます。
いかがでしょうか。栄養士の専門学校では、「栄養」という人が生きるためにもっとも重要なことを中心に、さまざまなカリキュラムで多くの知識と技能を身に付けることができます。活躍できるフィールドも、実にさまざまです。自分がどのようなスタイルで栄養と関わっていきたいのかをじっくりと考えながら、夢に向かってたくさんのことを学んでください。