食品衛生学で、何を学ぶ?どう学ぶ?


栄養士科で学ぶ科目として、公衆衛生学・臨床栄養学・公衆栄養学・食品学・食品衛生学などがあります。なんだか、どの科目も似たような名前ですが、それぞれの科目で違った内容を勉強しています。

今回は、その中でも「食品衛生学」とはどのような学問なのかということについて、ご紹介したいと思います。

食品衛生学と食品学とは、どんな違いがあるの?

以前、食品学という科目についてご紹介しましたが、食品学と食品衛生学には、どのような違いがあるのでしょう。

まず、食品学とは、食品全般に関する専門知識を学ぶ学問で、食品の栄養成分や、嗜好成分(味や香り色素)など基礎的なことを理解し、調理・加工による成分変化などを学びます。食に携わる栄養士や管理栄養士にとって、土台となる学問だと言えるでしょう。

一方、「衛生」という言葉には「生命や生活をまもる」ということから、「清潔を保つこと」という意味合いもあります。食品衛生学を簡単に言い換えるとすると、食品をまもるための学問といったこところでしょうか。

現代の日本では、食生活が豊かになった反面、食中毒や、食品添加物の危険性など、食に関する安全性が問題になっています。

食品衛生学は、食中毒の原因となる細菌や残留農薬などによる食品汚染について学ぶなど、食品の衛生や安全を保つためにはどうしたらよいのか、その方法を学ぶ学問なのです。

 

食品衛生学で学べること

食品衛生学の授業では、主に、食中毒・食品の変質・食品汚染物質や添加物について学んでいます。

季節に関わらず、食中毒発生のニュースを耳にしますが、食中毒といっても、その原因はさまざまです。

「細菌性食中毒」と言われるものには、食肉や卵から感染するサルモネラ菌や、O157などがあります。胃腸炎を引き起こすノロウィルスなどは、「ウィルス性食中毒」、またフグや毒キノコなどによる食中毒に「自然毒食中毒」があります。その他に、カビや農薬による「化学性食中毒」、アニサキスなど魚に寄生する寄生虫による食中毒もあります。授業では、これらの食中毒の原因や中毒症状について学んでいきます。

 

その他に、食品成分の変質や化学物質などの成分についても学びます。

みなさんも、夏の時期にはちょっとした油断で食べ物を悪くしてしまった経験があるのではないでしょうか。私たちのまわりには見えませんが、多くの細菌が存在しています。この細菌が食べ物についてしまうと、繁殖しやすい温度や湿度になると活動が活発になり、結果、食べ物の腐敗が進んでしまう、というわけなのです。

このような食品腐敗や変質についても学び、食品を安全に確保するにはどうしたらよいのか、についても考えます。

また、食品衛生学で学んだ内容について体験する授業として、「食品衛生学実験」という授業もあります。ここでは、食中毒の原因となる微生物や食品添加物などの実験を行うことで、食品衛生についてさらに知識を深めることができます。

 

食品衛生学を学ぶのはなぜ?

レストランなどの飲食業界での食中毒発生のニュースをよく耳にしますが、家庭などの身近なところでも食中毒は起こるものですよね。わたしが食品衛生学や、食品衛生学実験を通して感じたことのひとつに、この授業で学ぶことは、栄養士になるためだけでなく、わたしたちが健康に生きていくために欠かせない知識だということです。この授業を通して、食中毒予防の基本として手洗いや、調理器具の洗浄方法もしっかりと学び、実際に実験で細菌を目にすることで、衛生に対する意識はすごく強まったと感じています。

栄養士としての大きな仕事は、食品を通して、人々の健康を維持し、増進すること。しかも、提供する食品が安全でなければいけない、という大きな責任があります。給食施設などで食事を提供する、ということは、みなさんの命を預かっていること、といっても過言でないと思うのです。

ですので、日々食事を提供する立場として、まずは食品の安全についての知識をしっかり身につけることはとても重要ですし、栄養士として、食品衛生に対する意識をもっともっと高めていきたいと思っています。