こんにちは。
京都栄養医療専門学校の栄養士科2年で病院・福祉栄養コースを選択している在校生です。
わたしは栄養士になって、患者さんや高齢者の方の健康維持という分野で、貢献したいと思っています 。
みなさんは、高齢者の食事において栄養バランスを考えることがとても重要であることを、ご存知でしょうか。
今回は、高齢者のための介護食について考えてみたいと思います。
介護食という言葉、耳慣れない方もいらっしゃると思います。食事に特別な制限のない健康な人のための食事とは違い、介護食とは、飲み込む力や噛む力が低下している高齢者の方が安全に食べられるよう、調理方法を工夫した食事のことを表します。
高齢による食事能力の低下は、自然なことで、中には通常の食事をとるのが難しい方もいます。
そんなときに役立つのが介護食であり、高齢者の健康維持において重要な役割を果たしています。
噛む力や飲み込む力が弱い方にとって、硬いものや粘りの強いもの、また逆にサラサラした液体などは、上手く飲み込むことができません。
無理に飲み込むと、気管に入ることがあります。
皆さんも、急いで食べたり飲んだりした時に、「むせる」ことがあると思います。これは、食べ物や飲み物が食道ではなく気管に入っているために起こる反射です。
しかし、高齢になると、「むせる」感覚が少なくなったり、「むせる」ことで気管から食べ物や飲み物を吐き出すことが難しくなります。
このように、食べ物や飲み物が食道ではなく気管に入ることを、誤嚥(ごえん:誤った嚥下という意味)と言い、肺炎を引き起こすおそれがある、とても危険なものです。
では、なぜ高齢になると噛む力・飲み込む力が弱まってしまうのでしょうか。
それは、年を取るにつれ、顔のまわりの筋肉が衰えたり、歯も弱くなってしまうからです。
また、一般的に高齢になると若いときよりも食欲は低下するうえ、食べ物の硬さによって食べられるものが限られてしまいます。
そのため、食べる量が減ってしまい栄養不足に陥ってしまう、ということがあります。
このような栄養不足から起こる低栄養の状態になることは、高齢者にとって健康に大きな悪影響をおよぼします。
高齢者にとって、十分かつバランスが良い栄養が取れる食事は、非常に重要です。
なぜなら、必要な栄養が不足してしまうと免疫力が低下し、その結果、さまざまな病気にかかりやすくなってしまうからです。
また、高齢になると、内臓や腸などの消化器官の働きも低下します。
便秘や下痢を引き起こしてしまうと、食欲不振へと繫がり、さらに低栄養が進んでしまう可能性があります。
高齢者にとって、スムーズな食事をとることは健康を維持するためにとても大切で、そのためには、その人の状態や段階に適した介護食を選ぶことが重要なのです。
病院・福祉栄養コースでは、福祉栄養学という授業があります。
授業では、高齢者の適切な栄養ケアができるようになるために、高齢者の方々が抱える病気や身体の問題を理解し、生活の質を向上させるような食事について学んでいます。
先ほどお話したように、高齢者は栄養不足になりやすいため、介護食の献立を考えるときは、不足しがちな栄養を意識的に取り入れる必要があります。
特に不足しやすいのがたんぱく質・カルシウム・食物繊維・ビタミンです。
これらの栄養素を豊富に含む食材を多く使うことが大切です。
調理の際は、噛みやすさ・飲み込みやすさを考慮した工夫が必要です。
食材を食べやすい大きさに切る・硬い食材に切れ目を入れるなどの工夫をします。
繊維の多い野菜でも、切り方次第で食べやすくできます。
また、食材を十分加熱することで柔らかくしたり、片栗粉でとろみをつけて、のどの通りを良くすることで、誤嚥を防ぐことができます。
味付けについて気を付けることは、塩分調整です。
高齢になるにつれ、塩分の感じ方が鈍くなる傾向があるため、塩分の摂りすぎには注意が必要です。
高齢者のための介護食についてお話してきましたが、最近では高齢者施設でも食事に力を入れている施設が増えているそうです。
食べることは、生きるためには必要不可欠なことです。
高齢者にとっても同じで、食事は生きるうえで楽しみのひとつだと言えるでしょう。
しかし、栄養バランスが考慮され食べやすく工夫が凝らされた介護食であっても、高齢者の方が美味しく完食できなければ、栄養を十分に摂ることができませんし、食欲の減退にもつながってしまいます。
介護食は薄味の味付けだったり、トロトロの形態であったりなど、通常の食事と比べて美味しさや見ための美しさではどうしても劣ってしまいます。
使用する食器に気を配ったり、盛り付けにも工夫することで、食事の見た目からも食欲は増進するものです。
味付けに関しては、薄味を心がけますが、薄すぎては満足感が減ってしまいます。
そのためダシをとって旨味を増したりなどの工夫も必要です。
介護食は高齢者の方が栄養を摂るためだけの手段ではありません。
食べる楽しみを持ち続けることは、生きる力となります 。
わたしも将来、高齢者の方々の心と身体の健康を維持・促進に貢献できるような栄養士になれるようがんばりたいと思います。
参考サイト
京都栄養医療専門学校 「高齢者福祉施設」で働く管理栄養士・栄養士になるには
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【学校法人大和学園 京都栄養医療専門学校】
以下の学科をもつ、京都・嵐山にある専門学校。
●管理栄養士科[4年制]
●栄養士科[2年制]
●管理栄養士科3年次編入学
●医療事務・医療秘書科[2年制]
●診療情報管理士科[3年制]
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