介護食の種類と特徴について見てみよう


こんにちは。京都栄養医療専門学校の栄養士科2年生で病院・福祉栄養コースを専攻している在校生です。
私は栄養士の中でも、病院や福祉施設で活躍する栄養士を目指しています。

一番好きな授業は実習で、病院食・介護食の献立作成から調理まで、楽しみながら授業を受けています。
今回は、通常食とは違って調理法などに工夫が必要な、介護食の種類ついて詳しくお伝えしたいと思います

 

主な介護食の種類その1 「きざみ食」

介護食の種類のひとつとして、まずは「きざみ食」があります。
きざみ食とは、その名のとおり、食べ物を細かく刻んだものです。

高齢になると、顎の筋力が弱まり、噛む力が衰えて、通常の形態では食事を上手く摂ることができなくなります。
噛む力、噛み砕く力が弱い人のために食べやすく工夫された食事が、きざみ食なのです。
また、義歯が合わない人、開口障害がある人にも向いています。

きざみ食のメリットとしては、噛み砕く負担が少ないという点があります。
しかし、その反対にデメリットとして、細かいため、まとまりにくく食べにくい、という点があります。
確かに、想像すると、なんだか口の中でバラバラとなって、私たちでも飲み込みにくい感じがしますよね。
また、もう一つのデメリットとして、これらの小さい粒が誤嚥(気管に食べものが入ってしまうこと)につながる、という可能性もあるようです。

高齢者にとって、誤嚥は肺炎を引き起こすなどとても危険なトラブルです。
このような誤嚥を防ぐために、水溶き片栗粉でとろみをつけて、食べも同士の粒がまとまりやすくなり、ばらけることなくスムーズに飲み込めるようにするなどの工夫も必要です。

きざみ食の、見た目についてはどうでしょうか。
形態としては細かく刻んではありますが、彩りとしては通常食に近いといえるでしょう。
きざみ方の大きさですが、施設や病院によって、みじん切りの細かさから、1~2センチ角のものまでさまざまです。
また、人によっても噛む力の機能低下の状態は違いますので、その人に合わせた大きさで提供することが大切です。  

 

主な介護食の種類その2 「ソフト食」

介護食の種類のひとつ、ソフト食というものは、食べものを噛み砕く力が弱く、難しい人のために工夫された食事です。
食べものをよく煮込んで柔らかくしたり、ミキサーにかけたものを固めたりします。(前者を菜軟食、後者をソフト食と区別して呼ぶ場合もあります。)
どちらも、ペースト状ではなく、形があるというのが特徴です。

また、対象としては、噛み砕く力が弱い人の他に、食べものを歯ですりつぶす力は弱いけれども、舌で食べものを押しつぶす力があり、飲み込む力がある人に向いています。
ソフト食は、歯茎でつぶせるものから、ほとんど噛まずに飲み込めるものまで、柔らかさの段階はさまざまで、その人の状態に合わせた形態で提供することができます。

メリットとしては、咀しゃく(食べものを細かくなるまで噛むこと)の負担が少なく、すでにまとまった状態(食塊)ですので、スムーズ飲み込むことができます。
デメリットとしては、見た目が悪く食欲低下にもつながりますので、盛り付け方など見た目の工夫が必要になります。

ソフト食を作るときの注意点は、食材選びです。基本的に、柔らかい食材(あるいは調理法によって軟らかくできる食材)を使用します。
たとえば、肉や魚は脂肪が多く、しっとりとした食感のものが適しています。
脂肪分が多いものは身体に悪いという印象があるかもしれませんが、適度な脂肪があるほうが、脂が溶けて食感も滑らかになり喉越しも良くなるのです。

また、魚を使用する場合は骨に十分気を付ける必要があります。
野菜については繊維が少なめの野菜を選ぶことが多いですが、繊維の多い野菜でも、切り方に工夫することで食べやすくなります。
皮をむくこと、繊維を断ち切るような切り方をすることがポイントです。  

 

主な介護食の種類その3 「ミキサー食」

ミキサー食とは、名前のとおり、食べものをミキサーにかけた介護食です。
通常の食材をミキサーにかけ、だし汁などで味を調えて、ポタージュ状に仕上げます。

そのため、噛む力がほとんどなく、飲み込むことが難しい人でも食事を摂ることができるというメリットがあります。
その反対に、食材をミキサーにかけるため、見た目や食感が劣る、というデメリットがあります。
ドロドロとした食事ばかりでは、食欲も低下してしまいますので、食事の前にミキサーにかける前の食事を見せたり、メニュー名を伝えるなど少しでも食べる意欲を上げておくという工夫も大切です。

飲み込みやすいというメリットはありますが、誤嚥に関しては常に注意しなければいけません。
また、ミキサー食は通常食に水分を加えたものですので、通常食に比べ栄養素が減ってしまいます。

若い人に比べ、高齢者にとって低栄養状態は健康面でとても危険ですので、ミキサー食を作る際は、栄養素の面でよりいっそうの配慮が必要なのです。
また、低栄養の予防の面では、高齢者の方に完食していだくことがとても重要です。
見た目から食欲減退を引き起こさないよう、食事は一品ずつミキサーをかけて提供することもポイントです。  

介護食の3つの種類を詳しく見てきましたが、実習では、実際に高齢者の機能低下に合わせた介護食を作ります。
ソフト食は、煮込んだり、ペーストして固めたりなど、介護食の中でも一番手間や時間がかかります。
ミキサー食は簡単、というイメージがあるかもしれませんが、どのような介護食であれ、作る側の気持ちは大切です揺れるハート

私は、将来病院や高齢者施設の栄養士を目指していますが、高齢者の方に食事を楽しんでもらいたい、そして元気になって欲しい!という気持ちが伝わるような、介護食が作れる栄養士になりたいと思います。

参考サイト  
京都栄養医療専門学校 「高齢者福祉施設」で働く管理栄養士・栄養士になるには

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