
管理栄養士・栄養士になるには、必ず管理栄養士養成課程もしくは栄養士養成課程のある学校を卒業する必要があります。
ただ、養成課程のある学校であっても、自分が将来働きたいフィールドにあった学校選びが重要です。それぞれの学校の違いを知って、目的にあった学校を選びましょう。
管理栄養士・栄養士になれる学校の種類
管理栄養士・栄養士になれる学校は大きく分けて3つのパターンがあります。
- (a)
管理栄養士養成課程のある大学・専門学校
京栄校の場合、管理栄養士科(4年生)と管理栄養士科(3年次編入学)が該当します。 - (b) 栄養士養成課程のある大学・専門学校(修業年限4年)
- (c)
栄養士専門学校・短大(修業年限2年または3年)
京栄校の場合、栄養士科(2年制)が該当します。
また、(a)の編入学については、栄養士養成施設卒業者または、卒業見込者を入学の対象としています。
入学前に修得単位成績証明書など、出身校のカリキュラムがわかるものを提出し、厚生労働省が定める管理栄養士国家試験受験資格取得必須単位と照らし合わせ必要な授業を受けます。
最短で栄養士を目指す場合は、(c)がおすすめですが、管理栄養士になりたい場合は、資格取得までの道のりが出身校によって変わってきます。
- (a) …実務経験なしで管理栄養士国家試験を受けることが可能。
- (b) …実務経験1年以上を経て管理栄養士国家試験を受けることが可能。
- (c) …実務経験2年または3年以上(学校で学んだ年数によって異なる)を経て管理栄養士国家試験を受けることが可能。
この中で最も合格率が高いのは(a)の新卒者で、8割~9割。
(b) (c)の既卒者では、1割~2割と、比較してもその差は歴然です。
仕事をしながら勉強時間の確保をすることは難しく、根気がいるため、最短で管理栄養士を目指す方には(a)をおすすめします。
管理栄養士・栄養士の大学・短大・専門学校の違い
学ぶ学校の種類によってそれぞれ特徴が違うので、それぞれの強みを知りましょう。
大学
学位の違い
4年制大学では、卒業後に「学士」という学位が与えられ、4年制専門学校では「高度専門士」という称号が与えられます。
学位は国際的にも通じるものですが、称号は文部科学大臣が認定してくれるものであり、海外ではあまり認知されていません。ですが、日本では称号の「高度専門士」は、学位の「学士」とほぼ同様とみなされます。
管理栄養士として現場で働くうえでも学歴による優位を感じることはないでしょう。
就職活動においては、どう響くのかは一概に言えません。学歴ではなく、即戦力となる人材であること、一緒に働きたいと思える人間性であることを採用基準としている企業もあります。
カリキュラムは専門科目だけでなく一般教養が充実
専門学校や短大と基本的なカリキュラムは共通していますが、大学の特徴は管理栄養士になるための専門的な勉強ができるのはもちろん、栄養に関する専門科目以外のことも広く学べます。一般教養で見聞を広げ、栄養士+αの資格取得も目指すことができます。
ですが、多くのことを学ぶ中で違うことに興味を持ち、就職も栄養分野ではなく他の分野で就職することがあります。
受験勉強が必要
大学では入試科目に筆記試験が含まれることが多いので、受験勉強が必要です。
管理栄養士・栄養士は、「理系」ですが、高校で「文系」を選択していても、受験することはできます。受験科目は学校や入試区分によって異なるので、必要な科目を確認しましょう。
文系の学部(家政学部食物学科など)などもありますが、受験には、文系でも「数学」や「生物」、「化学」が関わってきます。受験する大学によって、すべてが必須科目であったり、1科目の受験で受けられるなど条件が違いますので、募集要項をしっかりと確認しましょう。
短期大学
実務技術と一般教養の両方を短期間で身につけられる
理系短大を考える場合は、大学と同じく研究に重きを置いている場合が多いので実験が多くなります。2~3年で栄養学について専門的な勉強・実習ができるだけでなく、大学と同じように一般教養も学べます。ある意味、大学と専門学校のいいとこ取りができるといえるでしょう。
専門学校
カリキュラムは実践的な授業が多い
一般教養にあたる科目が大学ほど多くはないですが、その代わりに専門的な知識を学べる授業や調理実習などの実践的な授業が多いため、現場に出た時に役立つ実践的な知識と技術を、短期間で集中的にしっかり学べることが特長です。
学校によってさらに+αの授業がある
個々の学校毎に基本カリキュラムに+αをした授業が行われており、学校によって調理実習やメニュー作成に力を入れていたり、医療系、スポーツ系に力を入れていたり、栄養士だけでなく、栄養教諭や介護系の資格が取れるようにしていたりと、学べる内容はさまざま。将来、就きたい仕事に合わせて学ぶことができるでしょう。
毎日の授業がそのまま資格対策になっており、指導するのは、現場を体験した資格取得に詳しい講師が多くを占めます。
就職サポートにも力を入れている学校が多い
就職サポートにも力を入れ、面接指導や履歴書添削など就職対策の指導を積極的に行っている学校が多くあります。企業や現場で働いている卒業生との関係性があるため、管理栄養士・栄養士の求人数が多く、専門職就職率(学校で学んだ専門知識や技能を活かせる分野・職業へ就職すること)が高いことが特徴です。
学生数も大学と比べると多くないことから、One to Oneのサポートが受けられるでしょう。
管理栄養士・栄養士の学校選びのポイント
学校選びにあたって重要なポイントは4つです。
1.カリキュラム内容
自分の目指す将来を実現できる内容が学べる学校であることは大前提なので、カリキュラムの内容をあらかじめ確認しておきましょう。
特に管理栄養士を目指す方は、国家資格試験のカリキュラムの有無も確認するとよいでしょう。
2.卒業生の就職率、就職先、管理栄養士の合格率
就職率や管理栄養士国家試験の合格率など数字は重要ですが、就職率の場合は栄養学に関係ないところばかりに就職していないか、資格の合格率の場合は受験者数と卒業者数との比率も重要な指標となります。卒業者のほとんどが国家試験を受験し、そして合格している学校は、管理栄養士を目指す意欲の高い学生が集まっているといえるでしょう。
3.設備や施設
実習に重きを置きたい場合、調理場に最新設備があるか、大量実習などがされているかなどを確認すると良いでしょう。また、栄養面にとても力を入れている学校では、学食などにもこだわっています。充実した授業、素敵なキャンパスライフが送れるように事前に見学や体験入学、オープンキャンパスなどでチェックをしておきましょう。
4.立地
自宅から通う場合は、家から学校までの時間、乗り換えの回数などを調べ、無理がないところを選びましょう。一人暮らしの場合は費用はもちろん、生活環境もしっかりと調べてことをお勧めします。学校生活やプライベートの時間をしっかり取れるだけで生活は大きく変わります。
社会人で管理栄養士・栄養士を目指す方へ
一般学生と同様に入学試験を受けて入るのは難関の場合が多いです。そのため、社会人入学枠のある学校がおすすめです。
社会人入試の場合、小論文・面接に加えて1教科のみと比較的入試の難易度は低めです。
大学・4年制専門学校は管理栄養士への道は最短ですが、4年制大学などの社会人枠は狭く、入試の難易度も比較的高めといえます。
国家資格の合格率が低くなってしまいますが、比較的入学しやすい2年制の栄養士養成施設は狙い目です。
ただし、昼間に通学するので、日中は働くことができません。自身の貯蓄状況や環境を考えて、学校を選びましょう。
社会人の経験を経て、学校に入りなおすことは勇気のいることだと思います。
金銭面的な不安があり、夢を諦める方もいますが、学校独自の奨学金制度、専門実践教育訓練給付金や教育訓練支援給付金などを活用し、再進学をしている方もいます。自分が該当するかは、学校やハローワークで給付条件の詳細を確認しましょう。
社会人入学枠がある場合の入学試験
管理栄養士養成課程がある4年制大学の試験科目例
小論文・面接に加え1教科のみ
栄養士養成課程のある専門学校の試験科目例
面接と筆記試験、成績表などの提出書類を総合的に判断
(面接だけで受験可能な学校もある)
大学への再進学を考えると、小論文や高校生と同様の試験科目を必須としているところが多く、難易度が専門学校よりも高いです。
専門学校では、面接や筆記試験などで受験をします。学校によっては、成績表などを提出すれば、面接だけで受験可能なところもあります。
まとめ
学校選びの際は管理栄養士と栄養士のどちらの養成課程施設を選ぶのか、また4年制大学・短大・専門学校のどこに進学するのかを考えましょう。
社会人の方の場合は社会人入学枠のある学校をピックアップするとよいでしょう。
最近では管理栄養士を目指す人が増え、新たに認可される養成学校が増えているようです。
カリキュラムや立地、実習内容・実習先、講師の経歴、就職サポート体制、国家試験の合格率、学費など、さまざまな観点から各学校を比較して、自分に最も合う学校を選びましょう。