介護職だけじゃない、介護の仕事


求人広告や求人サイトを見ると、介護施設や高齢者施設の求人がたくさん出ています。
新聞や雑誌、電車内の広告などでも介護施設や高齢者施設の情報が掲載されていますし、あなたの住まいの近くにもそういった施設があるかもしれません。
身近になった介護の現場での仕事をのぞいてみましょう。

介護の仕事ってなんだろう?

そもそも介護の仕事とはどういうものなのでしょうか。

 

超高齢化社会では必須の仕事?

わたしたちが住む日本をはじめ、世界的にも高齢化社会が進んでいるということはよく知られています。
小学校や中学校の社会の授業でも習ったのではないでしょうか。
ではその高齢化がどのくらいの勢いで進んでいるのかは、ご存知でしょうかほっとした顔  。

まずは、「高齢者」という言葉ですが、これは「65歳以上の年齢の方」を指しています。
さらに日本では、65歳~74歳までと75歳以上で分けて考えられることがあり、それぞれを「前期高齢者」、「後期高齢者」と呼ぶこともあります。
加えて、15~64歳を生産年齢人口、15歳未満を年少人口としています。

2020年6月現在の日本の総人口は1億2585万8千人、そのうち65歳以上人口が3609万9千人で総人口の28.7%となっています。
尚、生産年齢人口は7467万人で総人口の59.3%、年少人口は1508万9千人で総人口の12%です。
この調査での高齢化率(総人口に占める高齢者の割合)は28.7%でした。

この高齢化率は、1950年には5%でしたが、1970年に7%を超え、1994年に14%と進み、2020年の28.7%へと推移してきました。
この先の推計では、2036年の高齢化率は33.3%に、2065年には38.4%に達します。
この頃になると2.6人に1人が高齢者となる社会が到来し、平均寿命が男性84.95歳、女性が91.35歳となると見込まれていますから、高齢化ではなく高齢化社会といわれているのです。  

 

今、いちばん注目の業界

日本がどれほどの勢いで高齢化が進んでいるか、お分かり頂けたかと思います。
しかし、高齢化が急速に進む一方で、他の世代の人口は減っていきます。

2065年には高齢者1人に対して現役世代が1.3人になると推計されていますから、これからはお互いに支え合い生きていかなければならない、そんな時代になることは明白です。
高齢者の人口の増加は、そのまま要介護認定を受ける人の数の増加につながると予想されています。

事実、これまでのデータによると、介護保険を利用して介護サービスを受けている人の数も、高齢化率17%程度の2000年から、同24%程度の2012年までの12年で、296万人も増加しています。
さらに、介護サービスを受けたい人の増加によって、介護施設の数も増加しています。
要介護者や介護サービスの提供施設増加によって、介護の業界では慢性的な人手不足が続いているうえ、さらに高齢化が進むことでこの業界で働く人の需要は常に大きいと言えるでしょう。
日本における介護業界は、この先も注目の業界であることは言うまでもありません。  

 

どんな仕事がある?

では介護業界ではどのような仕事があるのでしょうか。一言で介護業界といってもさまざまな職場があり、たくさんの種類の仕事があります。その中でも多くの人が働いているのは、いろいろな職種の人たちが一緒に働く“介護施設”ではないでしょうか。介護施設にもいくつかの種類があり、その種類によって利用目的はもちろん、要介護度や提供されるサービスなどに違いがあります。主な施設には次のようなものがあります。

入居・入所介護施設

利用者さんが施設に住んで、介護サービスを常時受ける形態の施設
●介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム) 常に介護が必要な要介護度3以上の高齢者のための施設。24時間体制の介護。 自宅で暮らす高齢者向けの「通所介護(デイサービス)」や「短期入所生活介護(ショートステイ)」を実施していることもある。
●介護老人保健施設 病状が安定した高齢者のための施設。医療ケアやリハビリを受けながら自立生活を目指す。 「通所介護(デイサービス)」や「短期入所生活介護(ショートステイ)」を運営していることもある。
●介護療養型医療施設     医学的管理が必要な比較的重度の要介護者が対象になる施設。医療機関。
●有料老人ホーム 主に民間企業が運営しており、「介護型」と「住宅型」の2種類がある。生活や介護のサービスをおこなう施設。
●グループホーム 認知症高齢者が共同で生活する施設。日常生活のサポートや介護、機能訓練をおこなう。  

通所介護施設

利用者さんが施設に通い、介護サービスを受ける形態の施設
●デイサービスセンター 自宅に住む高齢者が日中に利用する施設。食事や入浴、機能訓練、レクリエーションなどをおこなう。 家族介護の負担軽減の役割もある。
●デイケア リハビリテーション・医療的ケアの必要性の高い高齢者が通う施設。  

介護の仕事には「食」に関するものもある!

前述の「介護施設」では、介護福祉士や看護師といった、いわゆる医療職や介護職の方がメインで働いています。
日常生活のサポートや介護、機能訓練などの介護サービスを提供しながら、介護が必要な利用者の生活を支えています。
また、介護の仕事には人が生きていくために必要な「食」に関する仕事もあるのですぴかぴか (新しい)  

「食」「栄養」で関わる、介護の仕事

人は、食べることで必要な栄養を体の中に取りこみ、それを体の中で上手に使うことで、生きていくことができます。
病気やケガがなく、健康な方たちであれば、それはとても自然なことです。
お腹が空けば何かを食べますし、食べることでお腹や気持ちが満たされます。
充分な栄養が摂れれば、体は元気になりますし、逆に充分な栄養が摂れなかったり、栄養のバランスが悪い食事を続ければ、体には不調が出てきます。
食、栄養、健康は、切っても切れない深い関係があるのです。
こうしたことから、高齢者の暮らしを「食」や「栄養」から支えるという仕事があります。
栄養士や管理栄養士という職業です。  

 

高齢者の生活をのぞいてみると……

栄養士、管理栄養士ともに、日本では国家資格であり、食や栄養に関するプロとして、働くことができます。
この資格を持った人は、病院や自治体、保育園や一般企業など、多くのフィールドでその力を発揮し、人々の生活に貢献しています。

では、介護業界ではどうでしょうか。
介護業界で働く栄養士や管理栄養士は、主に「介護施設」と呼ばれるところで働いています。
例えば、前述のような介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)、介護老人保健施設、介護療養型医療施設などです。

こうした施設の中では、24時間365日、高齢者の方、介護が必要な方が生活しています。
場合によっては医療的なケアを受けることもありますが、多くの場合は「生活の場」となっています。

中でも有料老人ホームは、一般的には比較的元気で、要介護度1が低めの方が多いようです。
個室(夫婦で一部屋のこともある)で生活し、食事は皆と同じ給食※2を食べますが、それ以外は自由に生活し、レクリエーションや体操などに参加し、健康に気をつけながら日々生活を送っています。

また、介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)で生活する方も、基本的には「出来ることは自分で」というスタンスです。
それでも、食事は皆と同じ給食ですし、要介護度に合わせた「介護予防プログラム」などに参加することもあります。
例えば、レクリエーションの一つとして折り紙を折るなどの工作をしたり、「音楽療法」という昔の童謡を皆で歌うような時間もあります。
こうして毎日を楽しく、前向きに生活する中で、やはり欠かせないのが「美味しい給食」です。  

 

介護の仕事と栄養士の仕事

こうした施設では、24時間365日での生活がありますから、1日3食の給食を提供する必要があります。
また、デイサービスを提供している施設であれば、昼食はその分、提供する給食の数が増えます。

デイサービスの利用者の状況(要介護度や慢性疾患の状態)に合わせた給食の献立作成や調理を、追加で行うことになるのです。
ショートステイ(短期入所)があれば、その間はやはり給食の献立作成や調理を行う対象が、増えることになります。栄養士や管理栄養士は、こうした状況の変化にも、臨機応変な対応が必要とされます。

介護施設は「治療の場」ではなく「生活の場」としての役割の方が大きいため、日常生活をより豊かに、楽しい食事の時間になるよう、献立の作成や調理における工夫が求められます。
例えば、「毎週水曜は自家製焼き立てパンの日」や、「毎月第3金曜日はお誕生日会の日」など、誰もが楽しみにできるような小さなイベントを、食事に盛り込むこともあります。

※1 要介護度(ようかいごど):介護が必要なレベルを表す言葉で、要支援1、2、要介護1~5 の7段階があります。
要支援は「支援があれば生活出来る人」で、要介護は「介護を受けることで生活出来る人」という区分。
要支援の方が、要介護よりも「自分でできること」が多いため、要介護度が低い、と表現されます。

※2 皆と同じ給食:慢性疾患(糖尿病や高血圧など)のある方は、糖尿病食や高血圧食など、病院の給食と同じように「病状に合わせた制限のある食事」になりますが、イベントや季節に合わせた食事や、食べやすさ、好き嫌いなどに配慮した給食が提供されます。  

介護の仕事には事務の仕事もある!

介護の仕事の中でも、栄養士や管理栄養は「食」と「栄養」という意味で、深い関わりがあります。
しかしそれ以外にも、介護業界を支える仕事があるのです。  

事務職も、専門職をサポート!

介護の仕事というと、介護そのものをおこなう“介護職”をイメージすることが多いと思います。
施設で働く職種の中でも、人数の比率が高いですし、利用者さんである高齢者に実際に接するのは介護職ですから、どうしてもそうした印象があるのだと思います。

しかし当然ですが、実際には介護職だけでその介護サービスを提供しているわけではありません。
多くの人たちが働く介護の現場ですが、外側からは見えにくい事務方の仕事があるのをご存知でしょうか。

一般企業であれば事務や営業事務、医療機関でも医療事務という仕事があるように、介護施設や事業所にも介護事務という職種があります。
医療事務がそうであるように、施設や事業所を訪れる方の対応などの受付業務をすることもありますし、施設や事業所内での文書作成や電話応対のような、一般的な事務業務もこなさなければならないこともあるでしょう。

しかし何と言っても介護事務として専門性を発揮できる業務は、“介護報酬請求”です。
これは医療機関でいう“診療報酬請求”にあたるレセプト業務です。

介護施設や介護事業所でサービスを受ける時、多くは介護保険を使います。
介護保険を利用したサービスを受けると、利用者さんは1~2割のみが自己負担となり、残りの8~9割は保険者である国保連合会に請求することになります。
介護事業所や受託ルートによって細かい書類の名称や方式に違いがありますが、利用者さんへの請求と国保連合会への請求のそれぞれを、決まった形式でルールに則り適切な書類に仕上げ決まった期日までに提出・請求するという業務になります。

特に国保連合会に提出する介護給付費明細書は事業所の収入の多くを占める大切な書類です。
提供したサービスが漏れることなく適切に記載されているかがとても重要になります。
基本的には専用ソフトを利用してコンピュータ入力するものですが、入力された内容を点検するのは介護事務担当者がおこないます。
介護保険は非常に複雑ですので、専門的な知識とスキルが必要になりますほっとした顔  

事務職として何が求められるのか

例えば、医療機関における医療事務がそうであるように、医療には医療の、介護には介護の専門的な知識が必要です。

介護を受ける方(要介護者)の状況、要介護度という考え方、介護サービスという特別なサービス、それを利用するための介護保険の知識など、知っておくべきことはとてもたくさんあります。
一緒に働く人たちは、介護や医療の専門職ですから、彼らとのコミュニケーションを円滑に進めるためにも、「今、何の話をしているのか」ということが理解出来るのと出来ないのとでは、仕事の進め方がまったく変わってきます。

また、医療現場の患者さんと同じで、日々接する人たちは「介護が必要な人たち」です。どのような特徴があって、どう接すれば相手に失礼に当たらないのか、こうしたことも知っておく必要がありますよね。
さらに、非常に複雑で地域による違いもある、介護保険請求。介護サービスは基本的に介護保険を利用できるものですが、要介護度や、その人が一カ月間にどれだけ介護サービスを利用しているかによって、介護保険に請求する内容と、利用者さんご本人に請求する内容が変わってきます。
中には「この部分は医療保険、この部分は介護保険」と、2つを切り分けながら利用することもあります。

こうしたことにも対応できるだけの事務職としてのスキルが、介護業界では求められているのです。

いかがでしょうか。介護業界の仕事には、実はたくさんの人や職種が関わっています。
栄養士や管理栄養士はもちろんのこと、医療事務の基礎的な知識や技能も、少し見方を変えれば介護業界でも通用するスキルとなります。
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