医療サービスの定義について考えてみよう


みなさんは「医療サービス」という言葉を耳にしたことはありますか?医療のサービスって?そもそも「医療」はサービスされるもの?ちょっとわかりにくいですよね。
今回はこの辺りを、医療事務・医療秘書科 2年 病院受付・クラークコースの川崎暢子が調べてみました。

医療サービスとは?

まずは「サービス」がどういうものかを考えてみました。

ある辞書ではサービスという言葉について

「誰かのために何かをおこなうこと、他者の助けになること。無形の財や価値あるいは労務などを提供すること。奉仕。用役。尽力。提供。」

と書かれています。つまり一般的には、「サービス業」とは、お金と引き換えに何かしらの形があるもの(商品)を提供するのではなく、お金と引き換えに形のない労働や技術を提供するもの、なのではないでしょうか。

では、医療がこれに当てはまるのかと考えるとどうでしょうか。「他者の助けになる」や「奉仕、提供」という意味で捉えるなら、医療はサービスという考えは、決して間違っていないような気がします。

また、ある文献には「サービスとは人の組織に役立つ活動そのもので、市場の取引の対象となる活動のこと」と記されています。そして「役立つとは(中略)生活上の必要性を満たすこと」としており、その対象を「医療、教育、交通、小売りなどのさまざま活動のこと」と記されています。さらに同文献には「市場の取引の対象となるというのは、お金を出して買う」ということと記されています。

わたしたちは「サービス」という言葉から、どうしても “無償で提供されるもの” “オトクなもの” というイメージを抱きがちですが、必ずしもそうした意味ではない、ということなのです。

これらをふまえると、医療サービスとは「医療機関において、医師や看護師を含む職員が提供する、患者の治療を目的とした有償の医療活動」といえるのではないでしょうか。

 

日本で質の高い医療サービスが受けられる理由

2017年、ある学術誌に「保健医療の質の高さや受診の容易さの調査」という研究結果が公表されました。これによると、日本は世界の195か国中、11位という結果が出ています。上位国(10位までの国)との差を単純に比較することは難しいのですが、日本と人口規模や社会状況が近い先進7か国の中であれば、日本は最上位でした。

この国に住むわたしたちにとっては当たりまえに思う医療サービスが、世界の中では高い評価を得ているということになります。

ではなぜ、日本は世界的に見ても「質の高い医療サービス」を受けられる国なのでしょうか。

第一に考えられるのは、「国民皆保険」という制度です。国民全員が公的保険制度に加入することで、一定の自己負担額を支払えば、必要な医療サービスを受けることができます。

次に考えられるのは、「フリーアクセス」です。日本では、受診する医療機関を自由に選択することができ、受診する医療機関を制限されることはありません。

こうした制度の採用が、わたしたちが自分に必要と考える医療を、安心して受けることを可能にしています。また、医療の安全を確保するため、苦情や相談を申し立てる仕組みや医療事故を未然に防ぐための体制、起こってしまった医療事故の情報収集・提供などの取り組みもなされています。こうしたことも、日本は質の高い医療を誰でもが受けることができる国、ということにつながっているのだと思います。

医療ってサービス業なの?

医療がサービスなのだとしたら、医療はサービス業なのでしょうか。

これはすごく難しい問題です。

一般的なサービス業では、そのサービスを提供する相手を「顧客」として扱います。コンビニ、飲食店やホテルなどでは “いらっしゃいませ” で顧客を迎え、“ありがとうございました” で送ります。“お客様は神様” という言葉にも表されているように、サービスを提供する側は顧客を自分たちよりも上の立場として扱います。

しかし医療の世界では、サービスを提供するのは医療者(医療機関)ですが、サービスを提供されるのは「患者さん」であり、「顧客」という捉え方はなじまない気がします。

また、前述の、「医療機関において、医師や看護師を含む職員が提供する、患者の治療を目的とした有償の医療活動」が医療サービスなのだとしたら、医療行為やその技術を提供するという部分に加え、接遇と呼ばれる「こころ」「思いやり」「おもてなし」などの部分も、医療サービスと捉えられると思うのです。誰だって、自分に対して冷たい態度を取る人には、自分の健康や命を預けたくないですよね。

サービスを提供される側である患者さんを尊重し、丁寧に誠意をもって対応することは必要だと、私は思います。そのためには、患者さん一人ひとりが納得いくような対応も、必要なのかもしれません。

病院の受付やクラークといった、直接の医療行為ではない仕事に就きたいと考える自分にとって「医療サービス」をどう提供する人材になるべきなのか、今後もしっかり学んでいこうと思います。