こんにちは。京都栄養医療専門学校です。
今回は一般的にはあまりなじみのない「ICDコーディング」について、お伝えしようと思います。医療事務の仕事をしている人でも一部の人しか関わらないこともある、ちょっと特殊な業務があるんです。
まずはICDという言葉について説明が必要ですよね。
ICDとは「国際疾病分類」と訳されている、WHO(世界保健機関)から勧告された統計分類です。正式には 「International Statistical Classification of Diseases and Related Health Problems:疾病及び関連保健問題の国際統計分類」 という名称がつけられています。
こう書くとすごく難しいものに思えるかもしれませんが、つまりは疾病や傷害、死因に関する統計を、国際比較するために必要な分類です。
具体的にどのようなものかというと、病気や傷害の名称が、アルファベットと数字を使ってコードにしたものです。
例えば「かぜ」であれば、「JOO」というふうに決められています。このコードは世界各国で共通したものとして使われています。先の例での「かぜ」を、英語では「cold」、フランス語では「rhume」、ドイツ語では「Erkaltung」というように、多くの言語によって呼び方が違う場合であっても、共通の「JOO」というコードが割り振られていれば、その国の言葉に置き換えることができますよね。
結果的に、その疾患についての国際比較が可能になるというわけです。
そして「ICDコーディング」とは、カルテなどの診療記録に記載されている病名や医療行為を、国際基準である「ICD」にしたがって符号(コード)化する手法を言います。多くの医療機関ではこの業務を含め、分類に基づいてコード化する業務を「コーディング」と呼んでいます。
ICDコーディング技能検定は、国内及び海外のコーディングを学ぶ人々を支援する事業をおこなうNPO法人日本クリニカルコーディング協会が実施している、コーディングの知識や技能を認定する検定です。 そのレベルは1~3級の3段階に分かれていて、年に2回(7月と12月)実施されています。
1級、2級に合格すると “ICDコーディングスペシャリスト™” の称号が与えられます。受験に制限はありませんが、実施団体の会員になることが必要で、協会の会員校や講習会などで所定のカリキュラムを修了しなければなりません。通信教育でも可能です。合格率は3級:85%、2級:73%、1級:43%となっています。
ICDコーディングスペシャリスト™は、“診療記録の翻訳家” ともいわれています。これは、膨大な数の病名や診療行為を客観的に分類するという、専門性の高い職務であるためです。 医療事務の仕事は、受付や会計など医療機関を訪れる人の目に触れる接客業的な要素のある業務から、一般の人からは見えない業務までさまざまな業務があります。
ICDコーディングは、後者の業務になります。目立つ仕事ではありませんが、大変重要な業務です。なぜなら、ICDコーディングは、その先の業務のベース作りや準備に欠かせない業務だからです。
日本では2003年から診断群分類に基づいて1日あたりの入院費を定額払いにする制度(DPC/PDPS方式といいます)が取り入れられています。これには、ICD第10版(ICD-10)によるコーディングが必要で、ICDコーディングなしでは、この方式での運用ができないのです。 医療機関はDPC/PDPS方式で入院費用の計算をおこない、患者さんに請求するとともに、診療報酬明細書(レセプト)を作成し、審査支払機関に請求します。この業務が医療機関の収入を左右しています。
正しくICDコーディングをおこなうことが、その先の業務につながるというのは、このような理由があるのです。
現在では、全一般病床の半数以上がDPC/PDPS方式の対象となっているといわれていますから、その専門性を活かせる場はたくさんあるといえますよね。
ICDコーディングによって分類された診療情報を管理したり、その情報を統計や分析などの運用・活用に活かせれば、さらに専門的にこの仕事に携わることも可能です。
その仕事の専門職は診療情報管理士と呼ばれ、近年多くの医療機関で積極的に採用されているそうです。まさに注目すべき検定試験ですよね。
参考サイト
厚生労働省 平成26年版 ICDのABC https://www.mhlw.go.jp/toukei/sippei/dl/icdabc_h26.pdf
DPC/PDPS傷病名コーディングテキスト https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12400000-Hokenkyoku/0000044471.pdf
資格広場 ICDコーディングスペシャリスト™資格取得の難易度は?試験情報・報酬相場を徹底分析 https://shikakuhiroba.com/medical/6653
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